なんかくうかい?

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<初日レポ>アンティークス「この星に生まれて」は、涙なくしては観れない、孤独な兄弟の一大叙事詩!

愛おしい人間の生を、淡々としかし鮮やかに描く劇団ですね。
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観劇三昧 」で観たアンティークスが、ちょうど下北沢で公演をしていましたので、初日の舞台を観てきました。

公演データ
アンティークスVintage25(第25回記念公演)
「この星に生まれて」
2018年11/28(水)~12/2(日)

観劇データ

場所 下北沢「劇」小劇場
日時 2018年11月28日 19時30分〜
価格 3800円 全席自由(事前にネット予約)
上演時間 2時間(途中休憩なし)

4話オムニバスを、2チームで

今回の「この星に生まれて」は、4話オムニバス構成。しかも、出演者がA/Bの2チーム。
私が観たのは、初日、Aチームの舞台でした。

1話目は、「キャメラで愛して」。AV出演の面接・・・のようなお話。私てっくぱぱおじさん、ドキッとしましたが、前田あかり、その後の話と演技が全く違う。。。

2話目は、ヨーコの休日。王位継承のために、男装して暮らす女性の話。現代版ローマの休日&リボンの騎士、といったところ。結局オチはどうだったのか。

3話目は、15分間の奇跡。突然、電話で繋がる、15年前の親子。短編だからこそ、のほろ苦い感動。

4話目は、表題作「この星に生まれて」。孤独な兄弟、姉と弟の半生を軽やかに描く、一大抒情詩、とでもいう作品。

ストーリーだけまとめると、こんな感じです。

愛おしい人間の生を、淡々としかし鮮やかに描く

観劇三昧でみた「あしおと」もそうでしたが、・・・この劇団の作品は、人への眼差しが優しい。人間が生きることの、愛おしさを、余すところない愛で包み込むような芝居です。

第4話「この星に生まれて」は、その愛を余すところなく描いている作品かと思います。丁寧にはられる伏線と、テンポの速い展開。約70分で、一人の孤独な少年が、大人になって老いの入り口に差し掛かるまでを描き切る様は、観ていて鮮やかすぎるものがありました。

まるで大河ドラマのように描き上げる。作者は、人が生きることや、人生に対して、どこか「醒めた」視点を持っているのかな、と思います。でも、そうやって冷静に見つめられるからこそ、ここまで畳みかけるような展開を描き切れるのかな、と思いました。稽古場ブログを斜め読みしてみても、岡﨑貴宏の丁寧な脚本、演出が読み取れました。
〜アンティークス稽古場ブログ〜

こんなお話ですので、アンティークスは、小劇場初心者にもおすすめ。むしろ、まずはこの劇団観てみて、といえる作品ではないでしょうか。

残念な点を一つだけ挙げるとすると、笑の面で、客席との一体感が少し少ないかな、と思った点でした。ただ、演出上、笑いを取ることにはそれほど注力はしていないかな、とも思います。涙のシーンでは、どちらかというと、"観客全体が泣いていることを悟られたくないって意地っ張りな一体感"がありました。客席、暗転したら涙拭くのにガサゴソしてたし。

今回はオムニバスでしたが、「この星に生まれて」は、70分の演劇として、そのまま提示してもよかった作品ではないか、と思います。脚本の肉付けは最小限に、80分くらいにして3800円の芝居にしても十分なように感じました。

役者さん

「あしおと」同様、女優さんが目立ちますかね。

田中重実。海の前で、斜め上の空を目線だけで見上げて、人生の辛さをかみしめながら、それでも前向きに生きていく演技。たまらなく好きです。お見合いのシーン、不器用だけど一生懸命。それを受け取る鶴たけ子の演技もあいまって、ほほえましいシーンになっていました。あのシーンがあったからこそ、妻が入院した後のベッドでのシーンが、とても映えました。パンフの写真は田中重実ですね。

前田あかり。きゃしゃな体で美人。一生懸命さと健気さの同居を感じさせる芯の強い女性、という雰囲気がとても好きでした。第4話で、「ケケケ」っていう音、わざとらしくならないように出すの、大変だったんじゃないかな・・・あるいは、彼女は自然とやっちゃうのかな。他の女優さんがやると、変にワザとらしくなったんじゃないかなぁ、と観ながら思っていました。だけど、1話の後半は関西弁しゃべっていましたが、なんか変。しかも、あの姿はドキッとしますよ、おじさんは。笑

井上七海。第4話「この星に生まれて」で、子供時代のしげる役を演じていました。のびのび演技していて、女みたいな男の子、っていうのがよく出ていたし、細かい感情表現が心地よかった。ランドセルのシーンは多くなかっですが・・・是非、山田のぼる君、路線を目指してほしいです。(例えが古い?)


鶴たけ子。第3話のお母さん。第4話で主人公の妻役をやっていました。オムニバスの中で、地味にしっかり七変化している様と、舞台映えする笑顔。ベッドに横たわりながら、夫と、子供時代の兄弟を見つめるシーンは、彼女に、涙腺の最後の堤防に、穴をあけられた感じでした。自嘲するような笑いを、あの顔いっぱいの笑顔でやられると、ついつい涙腺を緩めてしまう。そんな魅力に釘付けになりました。
twitter.com
役者さんの次回出演予定と、twitterのIDが、当日パンフに出ているのいいですね。

観劇三昧

アンティークスを観に行ったきっかけは、「観劇三昧 」。
アーティークスの作品は、前回公演、「あしおと」を、スマホ、パソコンで観ることができます。
なかなか、初劇団を観に行くのは勇気が要りますが、観劇三昧で納得してから、劇場へ足をお運びください。

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